20191013

アイシールド21』を読み終えた。あらゆる要素が高水準なのだけど、どこか突き抜けるものがない漫画だ(村田雄介の画力はすごいが……)。それは主人公チームが一芸特化の寄せ集めであることの裏返しに感じられなくもない(そうか?)。試合の全体状況のコントロールがあまり上手く感じられないというか、局所的なバトルが散発的に発生しているように演出していることが団体競技の描き方としては完成度を落としているところがあると思う。それがわかりやすさに寄与しているので難しいところではある。

スポーツ漫画などにおいて広義の「必殺技」と「基礎能力」をどのように配分してパワーバランスや試合展開を構築するか、というのは重要なポイントとなる。アイシールドでは基本的に必殺技を中心に構築が行われるのだが最終的には基礎能力が試合を決める、という展開が多い。この乖離の間には努力と根性が存在する。しかしここにやはり問題があって、必殺技を中心とした展開においては読者に共有されるロジックが試合を支配するのだが、基礎能力を中心とした展開においては作中で完結した努力と根性(と才能)が試合を支配する。ややここの調整が上手くいっていないのではないか、という印象を受けた。

とはいえ、普通にヒル魔とか阿含とか好きだし読み終わったあとにラグビーワールドカップの試合を少し見たらラグビーよりアメフトのほうが絶対面白いだろ……と思ったので普通にいい漫画であるとは思う。