20211203-20211209

ここ最近2つほどネット炎上をウォッチしたが、時間の無駄すぎ。
可能な限り炎上を無視していきたいが、「妻が……」発言を見たときなど(典型的に愚か過ぎて)テンションがめちゃくちゃ上がってしまったことは事実だ。内なるアンチの心性をどう扱っていけばいいのだろうか。
おそらく怨念とアンチの心性はやや性質が異なる。私は好き嫌いが激しくアンチの心性をかなり強く持っているが怨念はあまりない(と自分では思っている)。とりあえず今後も怨念は貯めないようにしたいと思う。
しかし、「誤解を招いたならすみません」という「最低の謝罪文」としての地位を獲得しつつある決まり文句は、お互いに相手の「誤読」をなじりあうような限りなく不毛な泥沼状況においてはむしろ建設的であり優れた発言ですらありうるな、と思った。


Fate/stay night
露骨に神ゲー。セイバールート半分くらいの時点ですでに記憶よりだいぶ面白い。日常パートも面白いんですが……。
遠坂凛ってこんなに優しくてかっこよくてかわいいんだ、みたいな極めて素朴な感想を持ってしまう。
全ルート+hollowをやり直す。


法月綸太郎『二の悲劇』文庫版

形式というのはのっぺらぼうなんです

(P.172)

形式的なものばかりを操作していると悲劇が起こる、というのが探偵法月によるこの事件の総括に思われるが、それは探偵の自己批判でもあり、最終的に「ちゃんと内面や本質を見よう」という自己啓発につながる。これだけだとろくでもない結論だが、全体的に情緒不安定で自信なさげなので逆説的な説得力はある。
とりあえず、作者名と同じ名前の探偵とか使ってるから病むんだよと思った。
P.214あたり、『頼子のために』への言及。「探偵法月は自分だけがメタレベルの語り手のつもりだったのに同じメタレベルの犯人から不意打ち的に聞き手にされたことで共犯者になってしまったのだ」というような総括がなされている。実際に『頼子』がそういう話だったかはちょっと確信が持てないのだが、その後に入る「『頼子』単体ではメタレベルの犯人が完全勝利しているが、こうして続編が続き語り継がれていく以上、犯人は究極の語り手ではありえない」というような話は結構いい。
しかし探偵法月が「本格探偵小説という死児」(P.373)「物語の終わりを見たいのではなくて、その続きを見届けたいだけ」(P.394)というのは、本格探偵としてのレゾンデートルを失いかけているということなのだろう。
形式操作批判に加えて今回は親子関係の問題が一切ないこともあって(ちょっと出てくる被害者の母親がさりげなく毒親っぽさをだしてくるが)、全体的に転向の気配だ。

 

「――ぼくをうつ伏せに埋めてくれ」誰に言うともなしに、綸太郎はつぶやいた。「まもなく、すべてはさかさまになるからだ」
(P.347)

これよくわかんなくて好き。

 

那覇潤『平成史』
面白かった。
平成はバブル直後とか00年周辺とか震災直後とか色々可能性はあったけど結局全部潰えて最終的には「昭和の延長線」的なものが回帰してきて終わった、というような平成史を戦後史全体も概観しつつたどっていく。私は政治史をほとんど理解していないので記述を鵜呑みにするしかなく、歴史記述として正しいかどうかは分かりません。
今までの著作のまとめ的なところもあるし、エッセイや対談で目立つ怨念も抑えられているので結構いい本だとは思う。
那覇が持っているが普通の人は持っていない「歴史感覚」について。そういうものがあるかもしれない、ということを冗談交じりに與那覇が何度か書いていたのだが、なんとなくそれがわかったような気がする。端的に、與那覇の記憶力が異常なのでなにを見てもデジャビュを感じる、というのが歴史感覚の実態に近いようだ。歴史の構造を見て取ることで、自分がループする世界にいるのだということに気がつくこと。リーディングシュタイナー? 確かにそれはちょっと凡夫には体得不可能かもしれない。

 

『白昼夢の青写真』
合間を置くと大したゲームではなかったような気がしてきた。
3つのパラレルな中編とそれを統合するグランドエンディングルートがあって、その3つの中編の出来が小説一冊くらい分としてそこそこ良く、グランドルートもちゃんと達成感がある。そしてテキストビジュアル音楽みたいな基本要素が高い水準でまとまっている。こういう「よく出来ている」要素でかなり評価を上げてしまったが、冷静になると大した話じゃないわ。
なんというか、ちゃんと主人公の鏡像を出すぞ、とかセカイそのものの少女を出すぞ、みたいなのが振り返ると透けて見える問題がある。明らかに展開に合わせて設定が無理やり作られている。むしろパラレルな中編におけるワナビものの要素がグランドルートでも活用されている(書くことが、書いたものが私達を少しだけ助けてくれる、みたいな微温的な話ではあるのだが)ところあたりがいいところだろう。
普通に面白く、全然悪くないゲームです。

 

『ブルーピリオド』8巻まで
私は受験直前のユカちゃんとの逃避行でぐちゃぐちゃな関係になって主人公が受験に落ちたら良かった、と思います。(ヒント:東京大学物語
それはそれとして結構気に入ってきた。主人公が絵を描く機械なことは藝大編のテーマになるのね。きねみがかわいい。

 

『ANEMONE』
前半はよくわからなかったが後半は面白かった。まあエヴァなんだが……。
しかしこれをエウレカの知識一切ない人が見ても面白い傑作!みたいな褒め方をしている人は「初見でもわかります」(スタァライト劇場版)レベルの詐欺だろう。
しかしこういう過去作品の総括作品で、漫画版のようなメディアミックスを含むというのはちょっとめずらしいのでそれをやってくれると嬉しい気持ちにはなるだろうな。シンエヴァ霧島マナが出るべきだった問題。
EUREKAは……配信がきたら見る。


たなと『あちらこちらぼくら』
オタクに優しいギャル。やっぱ暴力性があるといいね。


交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』
エヴァすぎ。ねだるな勝ち取れ、とか最悪の標語だなーと思った。内容をいまいち把握できず感想はない。