20211217-20211223

ゲームはプレイしている自分に少しでも疑問を感じたらその場でやめるべき。

電波批評、作品と一体化するタイプなんだけど「自己の実存を作品に投影する」凡百の批評とは違って「作品を自己に投影する」ところが特徴だと思っている。作品そのものが自らの構成要素となる。そのトリガーとして、引用や圧縮が投影魔術における詠唱みたいなものとして機能している、という印象。難易度が高くて出来ないし失敗すると地雷を踏むが……。

私は小学生の頃から芸人バラエティや漫才を一切見ないのだが、M-1を多くの人が見ているので決勝動画だけ見た。錦鯉(優勝者)などの面白さはよくわからないが、オズワルドというコンビは一見の価値があると思う。なんとなくわかっていたが、私は「無」への言及ネタに結構弱い。「じゃあ今まで何について話してたんだよ」みたいなやつ。ギャグ漫画などでもたまに見るので一つのテンプレなんだと思うが、漫才が発祥なのだろうか。

Fate/stay night
HFクリア。すごいゲームだ。

 

日文研大衆文化研究プロジェクト『日本大衆文化史』

日本大衆文化史 日文研大衆文化研究プロジェクト(編集 | 著/文) - KADOKAWA | 版元ドットコム

目次を見ると分かるがほぼ大塚英志史観の「教科書」で、日文研のプロジェクトの一部を大塚が乗っ取ったという印象を受ける(実際はどうだか知らないけど)。しかし大塚の文章はかなり内容の重複が多くてどこまでが既出の情報だったかよくわからなくなることが多かったので、教科書的なまとめがちゃんとした形で出たのはいいことなんじゃないでしょうか。
王琼海氏は本文ではなくコラム「レイヤーとしてのトーキーアニメーション」執筆。今村太平や大塚英志を参照しつつ、アニメーションにおける「音声」というレイヤーについて戦時下アニメーションの音画配合手法などを再検討しつつ考える必要がある、みたいなことを書いている。
1月に『東アジアの中の日本大衆文化(仮)』が出版される予定らしいんだけど、それの執筆者と内容が気になる。

 

『新説魔法少女』(http://www3.synapse.ne.jp/dio/smaho.html
フリーゲームSRPG。面白い。32面までで20時間くらい。
MP管理がかなり厳しく、基本スペックよりも技性能のほうが重要なので少数精鋭が通用しにくい(MPが切れるとほとんどなにもできずに死ぬ)。また、一部に強力な技を持つ味方ユニットもいるのだがそれについては一部の強力な敵ユニットを倒すという役割が明確にあり、その分のMPを確保しておかなくてはいけないので雑魚戦にはあまり使えない。よってほぼ総力戦的にまんべんなく育成して地道に制圧していく必要がある。この地味なバランスが久しぶりにSRPGをやっているという感覚がありよい。
とはいえゲージ管理・ダメージ計算をまじめにやれば負ける気はしない。しかしこの二つを徹底的にやっていると時間がかかりすぎる(私はちょっと真面目にやりすぎてプレイ時間がかなり延びている)ので少し大雑把にやっていくことも必要だろう。おそらく盾ユニット中心に雑に特攻していっても重要ユニットだけちゃんと守れば何体か死ぬだけでクリアはできる……はず。
シナリオは現代魔法少女ものでまあまどマギフォロワー感があるが、ずっと仲間集めをしていてその合間にイベントが起こるという感じ。
脊髄に注射をすると魔法少女になるのだけどそのたびに新規加入キャラが激痛で絶叫するみたいな軽いノリ。しかしその直後に仲間が民間人を殺してしまって闇堕ちしたりする。なぜかマスコットキャラがブギーポップの格好をしている。良くも悪くも雑でこれはこれで悪くない。マギレコってこんな感じなんだろうか?


志村貴子放浪息子』5巻まで
LGBT的なものってマンガとかだと端的に中性的な理想にしか見えないところがある。そういうものに萌えるということ自体が一つの主題になっているっぽいのは志村貴子の偉いところだろうか。実は志村貴子作品あんまり読めてない。


河野真太郎『戦う姫、働く少女』
思ったよりだいぶ良かった。
第二波フェミニズムによる女性の個人としての解放は、新自由主義的な「革命」と呼応して新自由主義に適応したポストフェミニズム状態に帰結してしまった。それはポストフェミニズムの勝ち組(フェイスブックサンドバーグとか)と負け組(無力な低所得女性)の両極端を生み出し、実際は負け組の方がずっと多いのにその事実が一部の勝ち組によって覆い隠される望ましくない状態になっている。ポストフェミニズム状態は現代のカルチャーにも刻印されている(ことをフェミニズム批評でもって明らかにする)。
ポストフェミニズムを乗り越えるには「第二波フェミニズムとポストフェミニズムの連続性を見すえ、その先に、それらの対立を乗り越えた第三波フェミニズムを構想すること」(P.224)が大切らしい。
結論はなんかふわっとしているが、全体的には結構面白い。とはいえ既読作品についてはやや見解が異なる部分がある。未読作品についても実際には評価が気に入らない部分が多そうな予感はある。


東京ゴッドファーザーズ
作画が良くなかったら最後まで見られなかったような気もするが面白かった。今敏との共同脚本はカウボーイビバップ信本敬子。信本が今月の1日に亡くなっていたと今知った。


ウルトラジャンプ
クレイジー・Dの悪霊的失恋はちょっと判断不可能だがあまり印象はよくない。
とりあえずは敗者としての人生を送っているホル・ホースDIOの残した負の遺産の後始末をすることによって再起する、という話になりそうだ。花京院の従姉妹とかが出てくるようだが……。
上遠野浩平のコメントは「気合い入れました、仗助たちの新冒険にご期待ください。」とのことなので、期待はします。
藍本松『フジコの奇妙な処世術』は導入はよかったが展開がイマイチ。絵がかわいくて、グエスが出てきたのが嬉しかった。

舞城王太郎大暮維人バイオーグ・トリニティ
最終巻まで読んだ。作品についてはやはり内容がうまく把握できなかったのだが(なんでいきなり世界が裏返ったりするんだ?)、世界が有限リソース=密室であること、が舞城作品のゲーム的リアリズムに直結しているのだなということを思う。


コナリミサト『凪のお暇』8,9巻
凪の問題がおおむね解決しているので周辺人物の話をするしかなくなっているっぽい。


森山絵凪『この愛は、異端。』
普通。